無料で読める家庭の医学 病気・疾患の解説、原因、症状、診断方法、治療方法、処方例などをわかりやすく記載
家庭の医学

大動脈解離aortic dissection;I710・心タンポナーデcardiac tamponade;I319


■概要:
高血圧のため大動脈壁が劣化するなどの理由で大動脈の内膜に亀裂が生じると、そこに勢いよく血液が流れ込み中膜が剥離してしまい、本来存在しない偽腔を作り出しそこに血流路や血腫が形成されます。また稀にですが内膜の亀裂がない場合でも中膜の血管に破綻が生じて偽腔を形成する事もあります。

大動脈解離にかかる男女比率は3:1となっており男性に多い疾患ですがアジア系など我が国ではあまりみられません。また大動脈解離を起こす人の約4分の3は年齢が40-70歳の人です。高い確率で高血圧が関係している病気ですから中年以降に多くみられます。

・心タンポナーデ:
大動脈解離の合併症で最も頻度が高く深刻なダメージを負うものとして心タンポナーデがあります。 これは心膜(心嚢)内へ出血が起こることにより血液が充満する状態のことで、心臓に様々な致命的な負担がかかります。
*タンポナーデtamponade:何かの内容物で、ある空間を充填して詰まらせる事。病的な用法だけでなく、腔内の出血阻止のためにガーゼその他医療用具で充填させる手法にも使う言葉です。生理用タンポンなどもこの部類に入ります。
また心タンポナーデのように出血などで体内のある腔内に充填された状態もあります。この場合部位により子宮タンポナーデ、鼻腔タンポナーデと言うように表現したり充填物によりバルーンタンポナーデ、シリコンオイルタンポナーデという表現を用いる場合もあります。



■原因:
アテローム動脈硬化症が原因のひとつでその主因子として高血圧・喫煙・高脂肪食・糖尿・炭水化物の過度の摂取・ウォーキングなどが習慣化していない運動不足があります。大動脈解離を起こさないまでも動脈硬化は危険な病態ですから危険因子を生活習慣から取り除く必要があります。 喫煙には毒性のあるニコチンその他有害な化学物質が含まれていて副流煙による受動喫煙の場合も含めて危険な血管収縮を促します。



■症状:
前駆症状(ぜんくしょうじょう:前ぶれ症状)はなく突然胸部から背部の激痛(引き裂かれるような痛み)が多く、心タンポナーデでは意識消失・失神をきたす事もあります。また解離の場所が広がると痛みの場所も広がったり移動したりします。



■診断:
経胸壁断層エコー、経食道断層エコー、CT、MRI、血管造影などで幾つかを組み合わせることでより高精度の診断が可能となります。



■治療:
急性大動脈解離の場合
スタンフォードA型(上行大動脈に解離が存在)
緊急手術をします。血圧が高ければ降圧薬の静注。血圧が低ければ昇圧薬投与で一定血圧を保たせます。心タンポナーデがあれば心膜(心嚢)ドレナージ(体外排出)を先に行う事もあります。

スタンフォードB型(上行大動脈に解離が存在しない場合)
内科療法の降圧安静療法のみで経過をみることもありますがあくまでも症状が安定していて胸部や背部に痛みが続く場合は手術を考えます。
大動脈解離:aortic dissection  心タンポナーデ:cardiac tamponade   高血圧:high blood pressure
剥離:detachment  前駆症状:preliminary symptom   ドレナージ:drainage  






  HOME