無料で読める家庭の医学 病気・疾患の解説、原因、症状、診断法法、治療方法、処方例などをわかりやすく記載
家庭の医学

原発性高血圧症(本態性高血圧症・一次性高血圧症)

■原因:
原因が腎臓病であるなど原因が明らかな高血圧症である二次性高血圧secondary hypertentionとは異なり、 原因不明、言い換えれば血圧が高いことそのものがこの疾患の本態である場合に、 原発性高血圧症(別名:本態性高血圧症essential hypertension・一次性高血圧症)と呼んでいます。 原因が特定できないものの、遺伝的要因と環境的要因が複雑に絡みあっているために起こると考えられています。 この本態性高血圧は全体の85〜90%程になり、残りの10%近くが腎疾患が関係していて、 更に残りの5%程度がその他の疾患が原因となっています。



■症状:
自覚症状は人によりまちまちで、かなりの高血圧になっても症状のない人もいます。しかし一般的に起こるものとしては 頭痛、肩こり、めまい、耳鳴り、不眠、不安感、息切れ、便秘などがあります。 更に重度の高血圧が長く続くと無理に心臓を働かせてしまうために心臓が肥大したり細動脈の硬化も起こります。 また動脈硬化が心臓や脳や腎臓の血管におこると、狭心症、心筋梗塞、脳出血、脳梗塞、脳卒中、尿毒症などを起こすことがあります。



■診断:
先ず血圧を頻繁に様々な状況で計ります。本態性か否かを判断するためには考えられる高血圧の様々な原因の有無をはっきり させなければなりませんので、種々の検査が必要になります。基本的には問診、聴診器的診断、X線写真、心電図、尿検査 、血液検査、眼底検査などがあげられます。



■生活習慣の改善:
薬に頼るのではなく、生活の中から休養をとることや食事や運動などで改善を図ることが出来ます。
●食事の面で気を配るべき点は食事の量を抑えてカロリー過多にならないことが先ずひとつあげられます。 肥満は糖尿病になり易く、余分なカロリーは血管の周りに脂肪となってくっつきますし、そうなると動脈硬化を起こしやすく、 あるいは悪化させやすくなります。5kgほどの減量をすると血圧低下に効果があることも実証されています。

肉食傾向にせずに菜食に努める事も大切ですが、それは主としてコレステロールや飽和脂肪酸などを含む動物性脂質を減らす目的であると考えるべきです。 魚や鶏肉や赤身のミートなどからとれる良質の蛋白質は筋力増強のためだけではなく、健康維持にも大切なものです。 例えば蛋白質、アミノ酸類に入るコラーゲンcollagenは血管の弾力性を維持するために欠かすことの出来ない物質で、それは肉類から容易に摂る事が出来ます。
更に菜食にすると食物繊維を効果的に摂る事が出来ますので、胃や腸の健康維持に有効ですし、 植物から得られる様々な物質は体の健康に大きく貢献します。
健康食品の解説もあわせてご覧ください。

●更に塩分を控えめにすることも大切です。出来るだけ1日に7g(食塩としては4g)以下に抑えるようにします。 患者にとってどの減塩方法が効果的であるか個人個人に違いがありますから、まず自分がどんな食事をしてきたか 表にまとめてそれぞれどの程度の塩分吸収をしてきていたか考察してみるのも良いでしょう。
それで自分が実行しやすい所と、しなければならない所をマークすると良いと思います。 現代人の食事はコンビニ弁当に頼っている場合が多く、お弁当に含まれる塩分は防腐目的のためにかなりのものになります。 もしコンビニなどで弁当を多く食べる機会が多ければ減らす方法を考える事もしてみるべきです。

味噌汁が好きな人は出来るだけ薄味にしたり、イモ類などの具を増やして味噌の量を減らすように出来ます。 ラーメン好きで、汁を飲みきる習慣があればラーメンを食べる回数を減らすしかないでしょう。 煮物などで具材全体に味がしみわたっている場合、思いのほか塩分を多く摂ってしまいます。 むしろゆで卵に塩をまぶすような食べ方であれば、卵自体に塩分は回っていませんから少量の塩でも効果的な味付けになります。 要するに舌に塩辛さを感じればよいわけで、舌に触れない部分には塩分は無くてもすむわけです。 薄味で美味しくないと感じるなら、酢や香辛料をうまく利用した料理を増やす方法もあります。

●アルコール摂取量はエタノールとして20〜30g、日本酒にして約一合(180mL)程度に抑えるのが望ましいでしょう。 ただし女性の場合の摂取量は10〜20gが望ましいとされています。

●軽い程度から中程度の有酸素運動も血圧をさげるのに効果的です。出来るだけ毎日30分程度こなすようにします。 しかし無理な運動は逆効果になりかねませんので、苦しくならない程度にするべきでしょう。

●喫煙は脳卒中や虚血性心疾患*に罹る割合が高くなりますので要注意です。
*虚血性心疾患:心臓の収縮弛緩など電気的興奮をつかさどる心筋への血流が悪くなり、 酸素供給が不足しておこる疾患で、狭心症、心筋梗塞、心不全、不整脈、突然死などを 引き起こします。





■治療法:
薬剤による治療も行われますが、それぞれ使用するには条件がありますからむやみに使うことは出来ません。 それで人から余ったものを飲まないようにしましょう。 例えば動脈硬化がある場合、血圧を下げてしまうと血流不足になり、他の疾患を誘発しかねませんのでそれは逆効果です。 病状や加齢の具合で、ある程度高い血圧のほうが望ましい場合があるからです。

●サイアザイド(チアジド)系利尿薬thiazide diuretic:
この利尿薬は第一選択薬のひとつで血管を拡張させる効果があり、また腎臓機能を増すことが出来ますから 水分と塩分の排泄を促進させます。 同時にナトリウムと一緒にカリウムも排泄されてしまいますのでカリウムをサプリメントなどで別個に摂る事が必要になります。 しかし高脂血症などの副作用の問題もあります。
(トリクルメチアジド・ヒドロクロロチアジド・ベンチルヒドロクロロチアジド・ インダパミド・トリパミド・クロルタリドリン・メチクラン・メフルシドなど)

●アドレナリン遮断薬:
主にβ遮断薬(ベータブロッカー)が用いられていて、これは交感神経の緊張の影響を軽減させて 心臓の負担を軽くすることが出来ます。 若年者、心臓発作を経験した人、心拍数の多い人、狭心症の人、偏頭痛の人などに有効ですが、 高齢者や抹消動脈硬化のある人、肺疾患のある人などには不向きです。
(塩酸プロプラノロール・ナドロール・ピンドロール・塩酸アセブトロール・アテノロール・塩酸ベタキソロール・ フマル酸ビソプロロール・塩酸カルテオロール・酒石酸メトプロロール・ 硫酸ペンブトロール・チモロールなど)

●アンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害薬:
細動脈を収縮させてしまう血圧上昇ホルモンであるアンジオテンシンの生成を阻害して、降圧作用を起こす薬で、 更にこれには血圧低下作用のあるブラジキンを増加させる作用もあります。 またインスリンの働きを改善させて糖尿病の治療にも役立ちます。
(カプトプリル・マレイン酸エナラプリル・アラセプリル・塩酸デラプリル・シラザプリル・リシノプリル・ 塩酸ベナゼプリル・塩酸イミダプリル・塩酸テモカプリル・塩酸キナプリル・トランドラプリル・ペリンドプリルエルブミンなど)

●カルシウム拮抗薬:
これは高齢者、狭心症の人、頻脈がある人偏頭痛がある人に効き目を表します。

●鎮静薬:
高血圧のために頭痛が起きたり不眠になる場合に効果的です。






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