無料で読める家庭の医学 病気・疾患の解説、原因、症状、診断法法、治療方法、処方例などをわかりやすく記載
家庭の医学 by igaku.bz

脳腫瘍(のうしゅよう)brain tumor,cerebral tumor


■概要
脳腫瘍とは脳そのものに腫瘍が出来るものだけでなく、頭蓋内(ずがいない)に発生する新生物(腫瘍)全てを表していて、脳で発生したもの(原発性)と、脳以外の体の別の場所で発生して脳に転移したもの(続発性)があります。 また他の腫瘍と同様に良性のものと悪性(癌)のものとがあります。 腫瘍の場合、転移するものは必ず悪性と判断されます。
腫瘍の良性と悪性

頭蓋内であるために診断も手術などの治療も困難で、例え良性であってもお腹部などのように外部に膨らんでいく余地もないために脳細胞を容易に圧迫する恐れがありますので、重大な疾患とみなさなければなりません。

分類の仕方は脳実質内発生腫瘍及び脳実質外のものに二分する方法があります。 脳実質内のものでは神経膠腫(しんけいこうしゅ;グリア細胞腫)、胚細胞腫瘍、髄芽腫・他。 脳実質外のものでは髄膜腫、下垂体腺腫、神経鞘腫(しんけいしょうしゅ;シュワン細胞腫)、頭蓋咽頭腫があります。 その内神経膠腫髄膜腫の発生率が高く両者ともそれぞれ全体の四分の一ほどになります。

●神経膠細胞neuroglia(グリア細胞glial cell)は神経組織を構成する細胞のうち、神経細胞と血管壁を構成する細胞以外の 部分を指していて、髄鞘を形成する乏突起細胞(稀突起細胞)、小膠細胞、星状膠細胞があります。
●神経鞘腫neurinoma(シュワン細胞腫schwannoma)は末梢神経系の軸索を囲む良性腫瘍で頭蓋内腫瘍の10%前後を占めます。
●下垂体腺腫pituitary adenomaは脳下垂体前葉に発生する良性腫瘍。腫瘍全体の約17%を占めます。



■症状:
●頭蓋内圧亢進症状と巣症状とに分けられる
巣症状としては進行性の神経機能脱落症状と症候性てんかん発作がありますが 発生する場所や組織、進行の具合や速度、また大きさの違いで症状が変わってきます。 しかし一般的には頭痛としても現れますが、今まで自分が経験してきた頭痛と何か違いを感じたなら脳の検査をするのが賢明でしょう。

また人格的な変化をもたらす場合があります。情緒不安定になる、落ち着きがなくなる、 怒り易くなる、不安感を抱くようになる、鬱(うつ)状態になるなどが現れたならば身近にいる人が 気が付きます。しかし発狂するようなことはありません。
その他、吐き気、嘔吐、眠気、間欠熱、昏睡、意識障害、視覚異常、視力低下、片側の麻痺(まひ)難聴、歩行困難(ふらつきなど)を起こします。



■診断法:
X線とコンピューター処理画像によるCT検査や磁気共鳴システムによるMRI検査を行います。 血管造影剤を注入して腫瘍に関わる血管を調べて手術の方法を確定します。 他にも脳波などの検査もあわせて行うこともあります。



■治療
手術は開頭術を行いますから患者の体力も必要とします。 腫瘍の切除方法は数種類のメスで切り取ることが基本ですが、レーザーで焼き切る方法や超音波で組織を分解して除去する方法があります。
ガンマナイフgamma knife(定位放射線療法装置)ではヘルメットのような半球状の装置を患者はかぶり、 その装置の201箇所からガンマ線を照射して腫瘍の部分だけに焦点を合わせるようにして腫瘍を破壊させます。 それで焦点の合っていない部分には極めて微弱なガンマ線しか通過しないようになっています。

●脳浮腫による頭蓋内圧亢進症がある場合には薬による処方があります。(以下処方例)
グリセオール注 200mL 1日200mL 2-4回 点滴静注 30分-60分投与。
マンニゲン注射液 20%200mL 1回200mL 1日2-3回 点滴静注 30-60分投与。
リンデロン注4mg(0.4%) 1回4mg 1日2-3回 静注 数日単位で漸減。
プレドニン錠5mg 5mg1錠 30-90-mg 分3

●痙攣発作(けいえんほっさ)に対する処方例。
セルシン注射液5mg 5mg 1管 1回5-10mg 静注
フェノバール注射液100mg 10%1mL1管 1回100mg 1日1-2回 皮下注
アレビアチン注250mg 5%5mL 1管 1回 250mg 緩徐静注
エクセグラン錠100mg 100mg1錠 2-3錠 分2-3
アレビアチン錠100mg 100mg1錠 200-300mg 分3
デパケン錠200 200mg1錠 600-1200mg 分3

手術が行える患者には手術を施行しますが、種々の理由で手術を出来ないこともあります。 患者が高齢であったり、腫瘍が良性で小さく進行も遅い場合は様子を見て手術は行わないで様子をみますし、高齢者の場合は一生行わずに済ませる場合もあります。

また悪性腫瘍であっても脳内部に何箇所も転移している場合は手術での全摘出は困難極まりますから放射線治療や化学療法のみ頼る場合もあります。 また転移による場合、多臓器などの状態も考慮にいれてどの治療が最適であるか判断します。 手術に大きな期待を出来ない場合でも手術によって延命が期待できる状態ならば手術を選択します。 悪性の脳腫瘍は終末期医療に結びつきますのでインフォームドコンセントをしっかり行って、 治療内容に関する意思決定をするようにします。






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