無料で読める家庭の医学 病気・疾患の解説、英語名、原因、症状、診断法法、治療方法、処方例などをわかりやすく記載


肺癌(はいがん)lung cancer,pulmonary carcinoma,carcinoma of lung:
小細胞癌・扁平上皮癌・オカルト肺癌


■概要:
肺癌は気管支肺胞系の上皮細胞から発生するがんで、 日本に於いても年々患者数が増加し続ける病気です。 分類上扁平上皮癌squamous cell carcinoma(SCCと略される 場合もあり、小細胞癌と混同しやすい。) と腺癌adenocarcinoma,glandular carcinoma(粘液産生能があるものなどの癌) が肺癌の全体の約8割を占めています。



■原因:
●喫煙との関係:
上記の扁平上皮がんと小細胞癌の占める割合が高いのは喫煙との関係が深いためと考えられます。喫煙が原因視される場合、肺門部の中枢気管支に発生する率が高くなります。また別に発生の多い腺癌は非喫煙者にもみられます。
小細胞肺癌はクッシング症候群、SAIDH、Lambert-Eaton(ランバート-イートン)筋無力症症候群のような腫瘍随伴症候群を合併するリスクが高まります。

●クッシング症候群:
下垂体成形の過剰や下垂体腺腫によるクッシング病や副腎皮質の腺腫やがんなどが原因で副腎皮質から分泌される糖質ステロイドの過剰により引き起こされる症候群です。 成人女性に多くみられ中心性肥満、満月様顔貌(浮腫状で丸顔。皮下組織萎縮により毛細血管が透けてしまうため赤ら顔になる)、多毛、紫赤色皮膚線状(腹部などミミズが這ったような線が露呈する)などの症状があります。

●オカルト肺癌:
扁平上皮癌のひとつにオカルト肺癌occult lung cancer というものがあり、これはオカルト癌の一つで、悪性腫瘍が発見されたにも係わらず レントゲン撮影やCTスキャンでは原発腫瘍(転移増殖する前の最初に出来た腫瘍) や腫瘍の転移に関して不明な点がある場合にこう呼んでいます。 オカルトといっても心霊的などの意味ではなく、陰性のものもしくは隠れたものがある場合に この表現を用いています。 尚、気管支ファイバースコープで確認出来た場合には レントゲン・オカルト肺癌 roentgenographically occult lung cancerと呼んでいます。 転移も多くみられ、血行性、リンパ行性転移、隣接性進展があります。



■症状:
初期的な症状ではしつこい咳や胸痛、呼吸時にぜいぜい音がすること、息切れ、血痰、声枯れ、 首や顔のむくみなどに現われます。また場合によってはその症状が出る前に転移によって 頭痛、腰痛、胸痛、肩痛、などが現われたりどのがんでも共通していることとして疲労感、 倦怠感、食欲不振、体重減少なども現われることがあります。
小細胞がんの症状では顔がむくんで丸顔になったり、全身皮膚が黒ずんだり、高血圧、高血糖 などの症状もあります。



■診断方法:
鼻や口からファイバースコープを挿入して気管支内を観察、組織を採取して検査 したり、肋骨の間から針を差し込んで細胞を取り出して検査する穿刺(せんし)吸引細胞診という方法も とります。他にも癌細胞の疑いのある部位に器具を差し込んで細胞を採取、検査することが行われています。







■治療方法:
小細胞癌small cell carcinoma,SCC (正体不詳の未分化癌でよく肺に発生し、増殖のスピードが速めで、転移も起こしやすい) の場合には抗癌剤など化学療法や放射線療法がとられます。 非小細胞癌の場合には手術を含め免疫療法などが講じられます。 肺癌初期の場合の術後5年の生存率はおおよそ70%ですが末期の場合は5%程度になります。

肺癌に用いる抗がん剤の幾つかとその副作用のうち重大なもの
製品名 薬品名 重大な副作用
アルキル化剤
エンドキサン
Endoxan
塩野義
シクロホスファミド
cyclophosphamide(CPA)
ショック、アアナフィラキシー様症状。骨髄抑制。出血性膀胱炎、排尿障害。イレウス、胃腸出血。 間質性肺炎、肺繊維症。心筋障害、心不全。抗利尿不適合分泌症候群(SIADH) 。 皮膚粘膜眼症候群など。
アルキル化剤
エスキノン
Esquinon
三共
カルボコン
carboquone(CQ)
骨髄抑制、汎血球減少。ショック。間質性肺炎など。
UFT
大鵬
代謝拮抗剤
テガフール・ウラシル
tegfur・uracil
骨髄機能抑制、溶血性貧血。劇症肝炎などの肝障害。腸炎。白質脳症。狭心症、 心筋梗塞、不整脈。急性腎不全。ネフローゼ症候群。間質性肺炎など。
フィルデシン
Fildesin
塩野義
アルカイド系
硫酸ビンデシン
vindesine sulfate(VDS)
骨髄抑制。抗利尿ホルモン不適合分泌症候群(SIADH)。麻痺性イレウス、消化管出血。 間質性肺炎。心筋梗塞。脳梗塞。神経麻痺、痙攣、聴覚異常、筋力低下、知覚異常。 アナフィラキシー様症状。
アドリアシン
Adriacin
協和発酵
抗生物質
塩酸ドキソルビシン
doxorubicin hydrochloride
心筋障害、心不全。汎血球減少、骨髄機能抑制。ショック。萎縮膀胱。


肺癌:bronchogenic cancer;lung neoplasm  小細胞癌:small cell carcinoma,SCC    扁平上皮癌:squamous cell carcinoma
オカルト肺癌occult lung cancer   レントゲン・オカルト肺癌 roentgenographically occult lung cancer
クッシング症候群:Cushing syndrome   下垂体:hypophysis cerebri    副腎皮質:adrenal cortex   





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