無料で読める家庭の医学 病気・疾患の解説、英語名、原因、症状、診断法法、治療方法、処方例などをわかりやすく記載
家庭の医学

裂肛anal fissure(切れ痔)K602・痔瘻anal fistula(あな痔) K603・ 脱肛anal prolapse K622


●裂肛(れっこう)anal fissure(切れ痔)
■概要:
裂肛は硬い便の排泄や圧力などで葉状線より肛門出口付近までの肛門上皮anodermが物理的に切れた状態や慢性の潰瘍を指しており、痔核や痔瘻とともに多く見られる疾患です。

■症状:
硬い便を排泄するときに出血や疼痛がおこります。 切れ目が出来て一回で治らないとそこがやがて潰瘍化してしまい、 場合によっては肛門狭窄(こうもんきょうさく)して便の通りが悪くなります。

■治療:
治療法は初めて切れたような急性の場合、軟膏や坐薬(ざやく)*などの保存療法でも軽快しますが、慢性的で潰瘍が進んでいた場合は、外科的治療が望まれます。 外科的には、用手肛門拡張術、括約筋切開術、皮膚弁移動術などが行われています。 *座薬とも書きます。



●痔瘻(じろう)anal fistula(あな痔)
■概要:
痔瘻とはいわゆる瘻管(通り道)が肛門周辺に出来る病気で、 肛門の小窩に細菌が侵入後、肛門導管や肛門腺に感染しますが、この肛門小窩を原発口(一次口)、そして 内肛門括約筋と外肛門括約筋付近で膿が溜まる状態の炎症性硬結を原発巣、そして瘻管が伸びて行き、 最後の皮膚への出口を二次口と呼んでいます。 その瘻管の通り道は不規則的であり様々です。 また、 痔瘻は直腸肛門周囲膿瘍*との因果関係が深く、病期が異なる同一疾患とみなす場合もあります。

*直腸肛門周囲膿瘍periproctal abcess:肛門の外の皮膚周囲ではなくその内側の膿瘍。 痔瘻の場合同様な感染経路をたどって発病します。起因菌のほとんどは大腸菌。 膿の溜まる場所は様々で下図の殆どの部位に出来ます。 症状は肛門の激痛、腫脹、熱感、膿が皮膚に近いほど肛門周囲を手で触ってもしこりを感じます。 巨大化すると10cm以上にもなります。治療は切開排膿をした上で痔瘻に対する根治術も必要になります。

■症状:
痔瘻の場合は裂肛のような突発的に起こるものとは違いますので疼痛や発熱などは起こりませんが、二次口から 膿やその他の分泌物が出ることで不快感を覚えます。さらに肛門部鈍痛や膿瘍が出来と熱が生じます。

■治療:
自然治癒は殆ど期待出来ませんので手術による根治治療が望ましいです。瘻管が括約筋や肛門拳筋付近を走ってますので 手術で切開を行う際、排便括約機能を失い易いものですが近年の温存手術では再発も少なくなりました。



●脱肛(だっこう)anal prolapse
■概要」
脱肛とは肛門管内にある肛門粘膜や内痔核が肛門管外に脱転してしまったことですが、どの部分が脱出したことまでを言うかは、各医療機関によって区別方法に若干の違いがあるかもしれません。
ひとつの顕著な例では嵌頓痔核(かんとんじかく)があり、肛門全体が腫れ上がってしこりのようになることを言います。 嵌頓痔核では痔核の中に血栓が出来、疼痛を覚えます。
また直腸脱ですと直腸全体が裏返るように、直腸壁が肛門から脱出する場合もありますが、 その場合5cmから2,30cmの長さに及びます。

■症状:
肛門から腸が脱転しますから、肉眼や異物感でわかりますが、嵌頓痔核で激痛を覚える以外は あまり痛みは生じません。しかし脱出部の粘膜による下着の汚れもみられます。

■治療:
保存的療法では効果がなく、結紮切除術などで伸びた腸を針金その他で縫い縮めたり、 縛って切り取ったりします。

痔核(いぼ痔)とその治療もご覧ください



疣痔」blind piles   裂肛:anal fissure  脱肛:anus prolapse;proctoptoma    肛門:anus   排泄:deferent
括約筋:sphincter   膿瘍:abscess   粘膜:mucous membranes







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