無料で読める家庭の医学 病気・疾患の解説、英語名、原因、症状、診断法法、治療方法、処方例などをわかりやすく記載
家庭の医学

ネフローゼ症候群(ねふろーぜしょうこうぐん):nephrotic syndrome

■概要・原因:
ネフローゼ症候群とは高度の蛋白尿とそれが原因となって生じる低蛋白血症 (ていたんぱくけっしょう)hypoproteinemiaを示す糸球体疾患のことです。 すなわち原因は糸球体の透過性亢進によって必須タンパクが尿中に流出してしまうことと、 血漿膠質浸透圧が低下して起こす代謝異常で、 浮腫(ふしゅ=水腫すいしゅedema:全身症状もしくは局所的な水ぶくれ)、また 高脂血症などの合併症状を伴うようになります。
単にネフローゼと呼ばれる種々の尿管上皮細胞の変性疾患も、 ネフローゼ症候群と同義語的に用いられる場合もあります。



■診断基準:
高度蛋白尿とは蛋白が成人の場合3.5g/日以上、小児では40mg/時/m2体表面積以上の持続があること。 低蛋白血症は血清総蛋白量6.0g/dL以下または血清アルブミン量が3.0g/dL以下、高脂血症は血清総コレステロール量が250mg/dL以上 になること。 及び浮腫(水腫)が見られた場合にネフローゼ症候群と判断されます。 また、高脂血症や浮腫が見られなくてもこの病気に該当する場合もあります。
病態の大別は一時性(原発性)糸球体腎炎による一時性ネフローゼ症候群と、膠原病や糖尿病などによる二次性(続発性) ネフローゼ症候群に分類されています。



■症状:
瞼(まぶた)や下肢などに、また胸水、腹水、心嚢水など体のいたるところで浮腫(水腫)が顕著に出現します。 また、たんぱく尿は尿に蛋白が多く混じるほど尿の泡立ちが顕著になります。更に尿の量が減少し続けると体重は1,2割程度増加する場合もあります。
血清蛋白の量が減ってくると抗酸化力や免疫力が著しく低下してしまいますので細菌やウイルスに容易に感染してしまいます。 更に血栓(けっせん)、動脈硬化(どうみゃくこうか)、心筋梗塞(しんきんこうそく)や脳梗塞(のうこうそく)、ビタミン欠乏症などを起こしやすくなります。



■治療:
食事療法が先ずとられます。浮腫の状態を見て塩分摂取をどの程度制限するべきかを決めます。 また蛋白が尿に大量に流れるからといって高タンパク食を摂っても摂った分だけアルブミン合成が多く出来るわけでは ありませんので、それよりも質の良い食事に心がけます。
浮腫が顕著で尿量の減少が見られる時には利尿薬。血清アルブミン低下が顕著であればアルブミン製剤の点滴静注を行います。 血栓防止の目的で抗血小板薬の投与も行います。

この病気に多く用いられるのは副腎皮質ステロイド薬で、次の種類のものが使用されています。
コルチゾン、ヒドロコルチゾン類では酢酸コルチゾンcortisone acetate・ヒドロコルチゾンhydrocortisoneなど。 プレドニゾン、プレドニゾロン類ではプレドニゾロンprednisolone・ リン酸プレドニゾロンナトリウムprednisolone sodium phosphateなど。 トリアムシノロンtriamcinolone、デキサメタゾンdexamethasone、酢酸パラメタゾンなどです。
免疫抑制薬としてアザチオプリンazathioprine(AZP)ミゾリビンmizoribineなどが有効です。

一次性ネフローゼにおける微小変化群(微小変化型ネフローゼ症候群minimalchage nephrotic syndrome;MCNS) では光学顕微鏡的観察でも変化が認められないものですが、小児にこの種の症状が多く 見られ、突然激しいむくみを生じ瞼や陰嚢や陰唇が膨らみます。この場合、ステロイドは有効ですがステロイド依存型ネフローゼ となり、投与量を減らすと再発してしまいます。

膜性腎症membranous nephropathyは糸球体系蹄壁に様々な程度のびまん性肥厚が特徴の腎炎で、 蛋白尿の程度が1,2年を経て重くなり徐々にむくみが生じてきます。30〜50歳代に多く見られ、ステロイドと 免疫抑制剤に反応し半数近くが自然寛解し10〜20%が末期腎不全になることが多いです。

膜性増殖性糸球体腎炎membranoproliferative glomerulonephritis(MPGN)ではメサンギウム細胞・基質の顕著な増殖と びまん性の糸球体基底膜の二重化を特徴としていて、副腎皮質ステロイド、免疫抑制薬、抗血小板薬、抗凝固薬などの 併用による治療を行います。多くは慢性腎不全になり透析治療を必要とします。10年生存率は50〜60%と言われています。

巣状糸球体硬化症focal glomeruloscleosisは発症してからネフローゼまでの時間は緩慢ですが副腎皮質ステロイド薬や免疫 抑制薬には無効の例が多く大半は腎死になります。






HOME