無料で読める家庭の医学 病気・疾患の解説、英語名、原因、症状、診断方法、治療方法、処方例などをわかりやすく記載
家庭の医学 by igaku.bz

慢性中耳炎・滲出性中耳炎・真珠性中耳炎

中耳(ちゅうじ)middle earとは音声の空気伝達を受け取る鼓膜(こまく) eardrum,tympanic membrance、 耳小骨のある鼓室(こしつ)tympanic cavity、鼓室から咽頭を通す耳管(じかん)auditory tube、 (耳小骨(じしょうこつ)には[ツチ骨hammer,malleus、キヌタ骨anvil.incus、アブミ骨staps]*があります)、乳突洞(にゅうとつどう)mastoid antrum,antrum mastoideum、 乳突蜂巣(にゅうとつほうそう)mastoid cells,cellulae mastoideaeの部分をいい、鼓膜より外側が外耳道、アブミ骨より内側の蝸牛(かぎゅう)や半規管を内耳と呼んで区別しています。

*名前の由来:
ツチ(槌)小槌やカナヅチ、ハンマーのこと。 キヌタ(砧)小槌で何かを打つ時に使う台のこと。 アブミ(鐙)登山や乗馬などに使うU字型の足掛け器具のこと。 いずれも役割や形状が似ていることから名づけられています。

それで外耳と内耳の中間にある中耳での炎症を中耳炎と言いますが、急性(化膿性)中耳炎、慢性(化膿性)中耳炎、真珠腫性中耳炎(きゅうせいしんじゅしゅせいちゅうじえん)、滲出性中耳炎(しんしゅつせいちゅうじえん)などに分類されています。 →急性中耳炎



●慢性(化膿性)中耳炎chronic suppurative otitis media:
原因
急性中耳炎の治療が長引いたり感染と炎症を繰り返していたり、ひどい炎症があると鼓膜に孔があいてしまい、そこが耳漏ear discharge(耳だれ)になると慢性中耳炎になります。また鼻炎やアデノイドや扁桃腺炎を繰り返していくうちにも慢性中耳炎になる場合も多くあります。

■症状と診断:
急性に見られるような痛みはありませんが、耳漏や軽度の難聴がみられます。鼓膜に孔が開いているために洗髪やシャワーをしているときに外耳道を伝わって水が入り込んで再発することがあります。
感染を繰り返しているうちに耳小骨が変形してしったり癒着したりすると音の振動が伝達しにくくなりますので、難聴きたします。この病状を鼓室硬化症と呼んでいます。

■予防と治療:
耳の炎症などを慢性化させないためにも鼻や喉の病気を早めに治療しておくべきです。どの部分の炎症も長引かせないようにしておきます。子供が風邪を引いても薬を飲ませない親がいますが、軽い風邪なら問題なく治る場合も多いですが、炎症をこじらせてしまうと大変な事になります。熱で苦しくなったり痛みが出れば放置してしまわないようにしましょう。
耳だれがあれそれを止めて、かつ鼓膜の孔を塞ぐ手術をします(鼓膜形成術)。耳小骨が変形していれば鼓室形成術を施します。



●滲出性中耳炎secretory otitis media;SOM,otitis media with effusion;OME:
■原因・症状:
急性中耳炎が治りきらずに経過が長引いたり、耳管が閉塞してしまうと起こる病気で、3〜6歳の幼少児や高齢者に多く見られます。しかし発熱や耳痛のような急性炎症的症状は伴いません。原因菌としてはインフルエンザ菌や肺炎球菌などによる上気道から来る感染、炎症などがあり、その上に小児ではアデノイド肥大、鼻副鼻腔炎、アレルギー性鼻炎、成人では上咽頭腫瘍などによる耳管機能障害をともなって滲出性中耳炎が発生します。

中耳内部はつばを飲み込む際に耳管が開いて中耳の内圧(空気圧)がその都度調整されますが、耳管が閉塞してしまうと内耳内の空気圧は血流に酸素が吸収されますので、内圧は段々と低下してゆきます。そうなると滲出液が中耳に溜まってしまい鼓膜の機能が低下して、伝音難聴などを起こします。

■診断・治療:
顕微鏡下観察によって鼓膜の陥凹(かんおう)と中耳貯留液を確認します。 ゴム球と管で繋がっているブリューニングス拡大耳鏡(拡大通気耳鏡)によって外耳道内部の気圧を変化させる方法などで鼓膜可動性の低下を確認します。 鼓膜の色は黄-黄褐色で、聴力検査では軽-中程度の伝音難聴です。 外耳道に陰圧と陽圧をかけ鼓膜の可動性の検査をするティンパノメトリーではB型かC型を示します。 なおB型はコンプライアンスのピークを形成しない型で、C型はピークが陰圧に片寄ります。

急性期の薬による処方例:以下を併用する。
アモキシシリン(サワシリン細粒 100mg/g) 30-40mg/kg 分3
カルボシステイン(ムコダイン錠500mg/g) 30mg/kg 分3

慢性期による処方例:以下を併用する。
クラリスロマイシン(クラリスドライシロップ小児用 100mg) 5mg/g 分2
カルボシステイン(ムコダイン細粒500mg) 30mg/kg 分2
塩化リゾチーム(ノイチーム細粒200mg/g) 3mg/kg 分2



●真珠性中耳炎otitis media cholesteatoma(真珠種):
鼓膜の孔から扁平上皮細胞(一種の皮膚組織)が入り込んで徐々に大きくなってあたかも真珠玉のような形状をしながらに増殖してしまうものです。 この塊りは感染しやすく、悪臭のある膿性耳漏になることが多いものです。 これが大きくなるにつれて周囲の骨組織を始め、その他重要な組織に悪影響を与えますから折を見て手術で摘出すべきす。しかし感染を伴う場合には至急に手術を行うのが望ましいです。


慢性中耳炎:chronic otitis media   真珠性中耳炎:otitis media cholesteatoma    滲出性中耳炎:exudative otitis media
鼓膜:tympanic membrane(TM   ブリューニングス拡大耳鏡:Brunings magnifying otoscope
拡大通気耳鏡:magnifying otoscope    ティンパノメトリー:tympanometry







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