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■原因:
●眼の栄養を運ぶ眼房水が滞留し排出されなくなる病態
緑内障とは眼の圧力が高くなって視神経が侵される病気です。眼の一番表面(顔面)にある角膜と水晶体の間には前房という部分があって、そこには血液に代わって栄養素を運搬する
眼房水(がんぼうすい):aqueous humorという液体がたゆまなく流れています。
この眼房水は前房隅角(ぜんぼうぐうかく):anterior chamber angleと呼ばれる部分を通って排出されているのですが、その流れが滞ってしまって液が溜まる結果、その部分の眼圧intraocular pressure;IOP/ocular tensionが上昇することで視神経が圧迫されて数々の症状を起こします。
この前房隅角は角膜の後面周辺と虹彩の根部に接する部分全体の事を意味し特定の器官や臓器を指す言葉ではなく、そもそもは隅角:angleアングルとは即ち隅(すみ)や角(かど)の位置を意味する言葉です。その部位から眼房水は線維柱帯網trabecular meshwork;TM→シュレム管Schlem canalにて集中→房水静脈へと流れていきます。(しかし眼房水の流れはこれが全てではありません)
またこのシュレム管は角膜輪全周を取り巻いている扁平な形状をした管で強膜静脈洞とも呼ばれています。
尚、眼圧の正常域は10〜21mmHgですが平均は15mmHgで±3の偏差値がありますが、日本人の平均はやや低めです。
*前房隅角は単に隅角:chamber angle、眼房水は単に房水とも呼ばれています。

緑内障は幾つかに大別されており、その代表的なものを以下の「症状」の項目に解説します。
■症状:
●開放隅角緑内障(かいほうぐうかくりょくないしょう);open-angle glaucoma・OAG:
房水の排水口が徐々に詰まって眼圧の上昇もゆっくりです。数ヶ月から数年のスパンをもって進行して行きます。開放隅角緑内障の場合は房水が詰まりだした時の症状は殆どなく、現れる初期症状はかすみ目や眼精疲労を起こす程度で、ある場合は小さな明かりの周囲に虹が見えることもあります。
病状が悪化すると視野欠損と言って、視野の一部分が見えなくなる症状が出始めます。両眼同じ位置が見えない場合でない限り見える方の眼で視力を補いますから、自分では気が付くのが遅れることがよくあります。
●正常眼圧緑内障(せいじょうがんあつりょくないしょう)normal-tension glaucoma・NTG(低眼圧緑内障):
眼圧が21mmHg以下の正常値を示しながら視野の一部が見えなくなるなどの視野異常を引き起こす病気です。この病気は開放隅角緑内障の症状に準じています。日本における40歳以上の人口の実に2%程がこの疾患に罹っていると考えられていて高頻度の罹患率があります。
●閉塞隅角緑内障(へいそくぐうかくりょくないしょうangle-closure glaucoma・ACG:
これは房水の排水口が突然に詰まるもので眼圧は急激に上昇します。閉塞隅角緑内障では眼圧の変化が著しいために急激な視力低下や頭痛、眼痛、悪心、吐き気、嘔吐が見られます。ただし、この病気に罹る割合はかなり低いといえます。
●先天性緑内障(せんてんせいりょくないしょう)congenital glaucoma:
胎生期に前房隅角の発育異常を起こした結果、房水流出が障害されて眼圧が上昇する緑内障です。緑内障だけの症状が認められる原発性のものと、染色体異常など先天性疾患も同時に認められる続発性のものがあります。生後1年以内に80%以上が発症します。角膜径拡大、角膜混濁をおこし、角膜(黒目の部分)が巨大化することから牛眼(ぎゅうがん)buphthalmosとかつては呼ばれていました。また幼児はまぶしがったり涙目によくなったり瞼が痙攣したりします。また場合によっては斜視が見られる場合もあります。
■診断:
診断には自覚症状を問診する他、様々な器械を用いて視野、屈折(視力)、眼圧、眼底、隅角、乳頭などの検査を行います。→眼科検査
■治療:
白内障に比べて薬で治しやすい病気ですが、点眼薬では治療が困難な場合には手術を行います。
点眼薬として代表的ないくつかを取り上げます。しかし続発性緑内障の場合は別の原因箇所の治療も平行して行わなければなりませんから、病状によって治療の方法や治療薬が異なってきます。
●コリン作動薬:眼圧降下作用があります。
・塩酸ピロカルピンpilocarpine hydrochloride:商品名・サンピロ(参天)、ピロリナ(千寿-武田)。その他、アドソボカルピン、メトカルピン。
・カルバコールcarbachol:商品名・グラウマリン(わかもと)
[副作用]眼瞼紅斑、結膜充血、視力低下、前房混濁、眼痛、不整脈、悪心、嘔吐、腹痛、下痢、頭痛、流涎、発汗。
●アルファ作動薬:開放隅角緑内障に適応し、房水の流出作用を促すものと考えられています。
・エピネフリンepinephrine:商品名・エピスタ(千寿-武田)。
・塩酸アプラクロニジンapraclonidine hdrochloride:アルゴンレザー手術後の眼圧上昇予防に用います。商品名・アイオピジン(アルコン)
[副作用]幻覚、錯乱、充血、上眼瞼後退、心拍数異常、結膜蒼白、散瞳、鼻口の乾燥感など。
●ベータ遮断薬:房水の産出量を抑えます。
・塩酸ベタキソロールbetaxolol hydrochloride:商品名・ベトプティック(アルコン)
[副作用]全身性エリトマトーデス、脳虚血、心不全、点眼時痒み・結膜充血・異物感、呼吸困難、頭痛、めまいなど。
・塩酸カルテオロールcarteolol hydrochloride。商品名:ミケラン(大塚)
[副作用]喘息発作誘発、失神、幻覚、不眠、息切れ、動悸、悪心など。
●プロスタグラジン製剤:房水の排出量を増やします。
・ラタノプロストlatanoprost:商品名キサラタン(ファイザー)
[副作用]虹彩色素沈着、結膜炎、結膜充血、虹彩炎、まつ毛異常成長(濃い、太い、長いなど)、筋肉痛、関節痛、頭痛など。
・イソプロピルウノプロストンisopropyl unoprostone:商品名・レスキュラ(アールテック−藤沢)
[副作用]結膜充血、結膜浮腫、角膜炎、角膜びらん、眼瞼炎、眼瞼部多毛、眼瞼色素沈着、虹彩炎、虹彩色素沈着、頭痛、口腔内乾燥、鼻閉、舌先のしびれ、悪心、嘔吐、動悸など。
●手術
頻繁にレーザーが用いられており、詰まってしまった排出管を貫通させたり虹彩を小さく切開してそこに房水を通す開口部を作ります。どの方法も点眼薬で局部麻酔を行い、入院は不要です。
原発性開放隅角緑内障では繊維柱帯切開術、繊維柱帯切除術、繊維柱帯凝固術、偶角癒着解離術、偶角切開術などがあります。また閉塞性隅角緑内障では手術が急がれ、レーザー虹彩切開術、周辺虹彩切除術、レーザー線維柱帯形成術、更に最終手段的なものとして毛様体光凝固術などが行われます。
・線維柱帯切除術(トラベクレクトミー)trabeculectomyは強膜弁や房水流出路を作製して眼圧が正常になるようにします。
・線維柱帯切開術trabeculotomy(トラベクロトミー)では、眼科用のゾンデsound(消息子・深針probe・ブジーbougieのこと)であるトラベクロトームをシュレム管Schlemm canal(強膜静脈洞sinus venosus sclerae)内に挿入して前房内に回転させ線維柱帯を切開させてシュレム管への房水流出を促す方法で眼圧を正常にさせます。
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