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家庭の医学


重症筋無力症myasthenia gravis


■概要と原因:
骨格筋の神経筋接合部のシナプス後膜上にあるアセチルコリンレセプター(アセチルコリン受容体: AChR)に対する自己抗体にり破壊現象が生じることで発症する自己免疫障害を起こす疾患で す。それにより神経筋接合部での刺激伝達障害が生じ反復発作性の易疲労感や筋力低下が見られます 。

若年女性や高齢男性に比較的多くみられます。

このアセチルコリン受容体には2タイプあってニコチン性の他中枢神経、自律神経節、心筋、平滑筋に分布す るムスカリン性が存在します。



■症状:
神経筋接合部の多くは外眼筋に集中していることから眼瞼下垂、眼球運動障害による複視がよく 起こります。表情筋への影響は筋無力症顔貌として出現するほか全身症状として全身脱力、嚥下 障害(えんげしょうがい・えんかしょうがい:飲み下すのが困難になる)吸収障害なども見られます。

特に筋肉活動などの運動後に筋力低下が見られ、その後安静により筋力低下が軽減するという特徴があり ます。このような全身症状は眼症状のみ出現している患者であっても眼症状が始まってから3年以内に出現 します。

筋無力症クリーゼは重度の全身性四肢不全麻痺若しくは呼吸筋力低下のことで、概ね 10%の患者におこります。呼吸筋力低下をきたすと呼吸不全となり生命の危機(クリーゼ:クライシス)に 至る場合があります。



■診断:
臨床症状・エドロホニウム静注試験*による症状改善・血清AChR抗体陽性・低頻度(1-5ヘルツ)反復神経 刺激での電位振幅の減少(waning現象)を主体としてなされます。

*●抗コリンエステラーゼ検査(エドロホニウム静注試験):
5分未満の短時間作用型のエドロホニウム塩化物(アンチレクス静注10mg:杏林)を用い 陽性を確認します。 検査対象は筋力低下が明らかな筋を使い、疲労が生じるまで筋肉を使い、その後エドロホニウムを 2mgを静注し30秒以内に有害反応が確認出来なければ更に8mgを投与し2分以内に回復した場合は 陽性と診断します。しかしこの場合陽性反応を示しただけでは重症筋無力症を確定出来るものではありませ ん。



■治療:
原因として胸腺腫が確認出来れば胸腺摘除術を行います。
免疫抑制薬としてステロイドが一般的ですが初期投与は少量から慎重に行われます。
処方される代表的な薬(一例)
プレドニゾロン(プレドニン錠5mg)・タクロリムス水和物(プログラフカプセル1mg)
アザチオプリン(イムラン錠50mg)
眼筋型など軽症の場合に抗コリンエステラーゼ薬も用います。
臭化ピリドスチグミン(メスチノン錠60mg)・塩化アンベノニウム(マイテラーゼ10mg)
ネオスチグミン(マイピリン点眼液5mL)



(日英対語)
重症筋無力症 myasthenia gravis  骨格筋:skeletal muscle  神経節:ganglion
眼瞼下垂:blepharoptosis  眼球運動障害:disturbances of ocular motility
胸腺腫:thymoma  嚥下障害:deglutition disorders  ステロイド:steroid
アセチルコリン受容体:acetylcholine receptor  

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